国語という教科は、集中的に勉強しても力がつかない教科です。
継続と蓄積がものを言います。
さて、国語の力がある子は、
①読書が好きで、本をスラスラ読める
②ノートにていねいに書いている
③漢字を書き順までしっかり覚えている
という特徴があると言いました。
つまり、この三つのことを心がけていれば、国語の力がだんだんとついてきます。中でも大事なのが読書習慣です。本を読むことを好きにさせていけば、中学、高校と着実に力がついてきます。中学受験を考えていらっしゃるなら、塾に通うのと一緒に低学年のうちから読書習慣をつけることです。
また、国語の力をつける方法として「名文の暗唱」もあります。
名文を暗唱することで、言葉に対する感覚が自然に磨かれるのです。
豊中の塾では、卒業までにおよそ三○ほどの文章を暗唱させるようにしていました。卒業後、習っておいてよかったという反響がたくさん届きます。
家庭でやるのでしたら、一学年で二つくらいを目安に暗唱させれば十分です。低学年なら、「言葉遊び」など、リズムがよくて子どもが楽しめる短めの文をぶとよろしいでしょう。
「百人一首」も、ぜひともお勧めです。
平成四年度からは、小学校でも教科書に「やさしい古文」が入るようになりました。中学・高校になれば「百人一首」を暗唱させられます。古典の勉強をする際に役立つことはいうまでもありませんし、後々の国語力に大きく影響してくるのです。
私は、国語の授業で、三十年も前から「百人一首」の指導をおこなってきましたが、子どもたちに「百人一首」をさせるのにはコツがあります。
一○○枚覚えるのはたいへんですし、一○○枚をやるのに時間がかかるという欠点がありますから、それをカバーする「五色百人一首」を使うのです。これは私たちが開発したもので、「全日本かるた協会」の正式認定札にもなっているものです。
「五色百人一首」は、百人一首を二○枚ずつ分けて五組にし、「ピンク」「ブルー」「グリーン」など色別にしたものです。
その五組の中から一組を選んで、遊びます。
一○○枚はたいへんでも、一○枚を覚えるのなら子どもにも手が届きます。また、一○○枚やるとゲームが終わるのに三十分もかかりますが、一○枚だと八分程度です。慣れてくると取るのが速くなりますから、やがて三分くらいで終わるようになります。
しかも、この五色百人一首は、取り札の裏に上の句が印刷されています。競技中に裏を見ることができるので、子どもにとって取り組みやすいのです。
私の塾生達は、帰りの時間などを利用して毎日十分くらい遊んでいました。
子どもは最初の一○首を覚えるまでに時間がかかります。しかし、一○首を覚えてしまうと残りの九○首はあっという間です。
子どもは「百人一首」が大好きで、何人か集まると「百人一首」「百人一首」とコールが起こるほどでした。
小学校低学年の子どもでも、札をゆっくり読んでやると、十分ついてこられます。
学校で指導するのが望ましいのですが、それがなされていないのでしたら、ご家庭で「百人一首」をして遊んでみることをお勧めします。
~コラム~
『作文が下手な子・苦手な子には』
作文を書く力は、低学年の間は重要視する必要はありません。
「スラスラ読める力」をつけておくほうが、何倍もたいせつです。
特に女の子は中学年、高学年になると、友だち同士で日記をつける場合も多く、あせる必要はないと思います。
ただし、高学年になっても作文が嫌いで書けないということなら、「書く」ことに慣れさせることも大事でしょう。
たとえば、離れて暮らす祖父母などに「手紙を書かせる」という方法があります。返事がもらえるというのは、子どもにとって大きな励みと喜びになります。
また、小学校でもパソコンが導入されるようになりました。パソコンは、これからの時代、必須になります。早くから使えるようになるにこしたことはありません。ご家庭にパソコンがあるのなら、子どもに触らせることです。子どもは、ゲーム感覚で楽しみながらマスターするものです。ワープロ機能を教えてやれば、文章を書くことに自然に興味を持つでしょう。
また、メールを出す相手がいるという条件がつきますが、子どもにメールを送らせるというのもいい方法です。最近は、仕事の関係でメールアドレスを持つ親が増えていますから、メールで親子の会話をしてみるのもいいでしょう。
ちなみに、子どもに作文を書かせる場合、「発展法則」というものがありますので、それを簡単に紹介しておきます。
第一のステップは「毎日書かせること」。
日記などを書かせるといいでしょう。一行でも一行でもかまいません。
書いたら、「偉い」とほめてあげることです。毎日似たような内容になりますが、ともかく書いたことを評価して、「立派だ」と声をかけます。
毎日書くようになったら、それだけでも大きな進歩です。
毎日書けるようになったら、第二のステップに進みます。
第二のステップでは「少しでも長く書かせる」ようにします。
前日より一行でも多く書けたら、「よく書けた」とほめてあげてください。
それと同時に、「今度は、五行書いてごらん」「半ページ書くようにしてごらんなさい」と目標をつくってあげます。
「もう少し長く書いて」だけでは、子どもは書きにくいものです。しかし、日標があると格段に書きやすくなりますし、意欲的にもなります。
第二のステップを一年ほど続けたら、第三のステップに移ります。
第三のステップでは「一つのテーマを選んで書かせる」ようにします。
友だちと遊んだこと、家族でどこかに出かけたこと、家で飼っているペットのことなどなんでもかまいません。選んだテーマ以外のことは書かせないようにするのが、ポイントです。
これができるようになったら、第四のステップとして、事実と自分の考えを分けて書かせるようにします。
この第四のステップまで到達できたら、書く力はかなりハイレベルに達しています。
(この第一のステップから第四のステップまでを、パソコンを使ってやらせる方法もあります)
また、作文を書かせる場合、もっともいけないのが、「字が汚い」とか「漢字を間違えている」「”っ”が抜けているよ」など、細かいことを注意することです。枝葉末節のことをとやかく言われるのは大人でも不倫快で、やる気を一挙にそがれるものです。子どもならなおさらで、書く気持ちを大きく損なうことになります。
「よく書けた」「上手になったね」「昨日より一行多い!偉いね」と、書いたことをほめることが、なにより大事です。とにかく褒めることを豊中の塾では第一にしています。
ちなみに、「作文を書かせる中で漢字のおさらいもさせよう」と考える方がいますが、これは効率的なようでいて実は逆効果にしかなりません。
「漢字を書く」ということと、「覚えた漢字を使う」ということの間には、距離があるからです。このギャップを無視して、習ったから書けるはずだと漢字を使うことを子どもに要求するのは、たいへんな無理があります。子どもは「書く」ことも、「漢字」も嫌いになりますから、作文と漢字は別々に学習させることです。
ちなみに、文章を読みとる力をつけるても力はつきません。思いつきを言うだけにすぎないからです。
たとえば「話者」と「視点」と「対比」とも子どもの力は激変します。
前回の記事はコチラ→【大きな字ではっきりノートを書く子は勉強ができる】