「帰納的な読み方」の大きな効き目
基準書となる参考書の読み進め方は大きく2つに分類することができます。
一つ目は初めから順番に参考書の筋道に従って読み進める方法で、これを私は「演繹的な読み方」と称していました。
数学問題において、筋道に沿って解き進めていくように基準書の順を追って読んでいくやり方です。
大抵の受験生はこのように参考書を読んでいることでしょう。
もちろん基準書の一番初めからだけでなく、第2章からとか第3章からというように、途中から順に読んでいくのもこの「演繹的な読み方」にあたります。
反対に受験生が意外と忘れがちな、もしくは、していないのが「帰納的な読み方」です。
これは「問題に向き合っているときや、模擬試験のおさらいをしているときに基準書においてその内容が説明しているところにもどる」という読み方です。
つまり、問題集、試験、基準書を細やかに照らしあわせることによって、全てを関連付け集約させ理解度や記憶を強化しようという読み方です。
(一言付け加えておきますが、ここで使っている「演繹的」「帰納的」という文言はあくまで私が受ける印象をお伝えするための言い回しで、論理学における「演繹法」「帰納法」とは異なるものです。)
私が協調したいのはこの「帰納的読み方」です。
塾の受験生はどうしても「問題をこなして答え合わせをし、説明を読んで終了」「模擬試験を受けてもせいぜい説明文を見て終了」となりがちでしょう。
しかしそれでは大変勿体ないのです。問題を解いて、もし合っていたとしても、わずかでも理解度が低かったり、不正解だった時は、絶対に基準書の説明個所を確認しておきましょう。
これが必ず基準書に戻る「帰納的な読み方」なのです。
基準書にきちんと記載していたのに、問題が解けなかったときは「基準書の読みこみが浅かった」ということです。
もしくはその事柄が基準書に記載されていなかったなら。新しい知識として基準書に書き残すことができます。
豊中の塾でもそう教えています。
こうして役に立つ情報を着実に基準書に集約していくと以下のような多大な効果をもたらします。
①基準書を何回も見ることによって、その中身や成り立ちをいつの間にか記憶している。ことに大切なところは何回も見るのでそれだけでも相当量を覚えることができる。
②「全ての内容が1冊の基準書にある」状態を作っておけば、試験直前に「これ1冊を読み直せばよい」ということになり、忘れていたことを思い出すのにとても役立つ。試験本番は模擬試験のように試験範囲が限定されていないので前の日に全部をざっと見直しできるだけで、とても有利である。
③複数の参考書の内容を集約することで、1つの単元について、より詳しく正確に理解することができるようになる。
この「帰納的な読み方」においても(大切なことなので念押ししますが)基準書にどこからの情報なのかということを書き記すようにします。
このようにして基準書を辞書のように利用していくと、ただ読んでいたときとは全く異なる「深さ」で基準書の内容が分かるようになったと塾生の子が言うようになりました。
とにかく、何度もページをめくることでまさにその学科や分野における「自分のオリジナル愛読書」が出来上がるのです。
前回の記事はコチラ→【短距離で成果を出すには?】